障害者雇用における業務切り出しの成功方法とは?

障害者雇用を進める上で、多くの企業が直面する課題が「業務の切り出し」です。適切な業務を設定できなければ、戦力化や定着につながらず、単なる数字合わせに終わってしまいます。本記事では、障害者雇用における業務切り出しの基本的な考え方から、具体的な事例、最新の法改正や助成金情報を交えた実務的な進め方までを詳しく解説します。

障害者雇用を阻む「業務の切り出し」課題


日本では、障害者雇用促進法に基づき、従業員43.5人以上の企業に障害者の雇用義務があります。法定雇用率は2024年4月に 2.5% に引き上げられ、さらに2026年には 2.7% となる予定です。しかし、厚生労働省の最新調査によると、法定雇用率を達成していない企業は依然として全体の約半数に上り、特に中小企業での未達成が目立ちます。

その理由の一つが「業務の切り出しが難しい」というものです。多くの経営者や人事担当者が「障害者に任せられる仕事がない」「生産性を下げてしまうのではないか」と懸念しています。しかし、実際には業務をうまく分解・再設計することで、障害者社員が戦力となり、結果的に従業員全体の効率も向上するケースが多く見られます。

 

業務切り出しの基本的な考え方


障害者雇用を成功させるための業務切り出しは、次の3つのステップに基づいて行うことが有効です。

  1. 既存業務の棚卸し
    部署ごとに日常的に行っている業務を一覧化し、ルーチン化・マニュアル化できる業務を抽出します。例えば、以下のような業務がよく切り出しの対象となります。

    • 書類整理、スキャン、ファイリング

    • データ入力やチェック業務

    • 備品管理や在庫管理

    • 郵便物の仕分け、配布

    • オフィス環境の整備(清掃、消耗品補充など)

  2. 業務の分解と再設計
    一つの業務を細かい工程に分け、その中で「障害者社員が得意とする部分」を切り出すことが重要です。例えば、営業部門の業務であれば「顧客リストの整備」「会議資料の印刷」などが分担可能です。部分的に担ってもらうことで、他の社員は付加価値の高い業務に集中できます。

  3. 合理的配慮の導入
    ITツールや環境改善を行うことで、より多様な業務を障害者社員に任せられるようになります。例えば、視覚障害者に対しては音声読み上げソフト、発達障害者に対しては作業手順を図解したマニュアルを導入するなど、個々の特性に合わせた配慮が必要です。


 

成功事例:実際の企業での取り組み

 
  • 製造業 A社
    工場の組立ラインで発生する「部品準備工程」を障害者社員に切り出し。作業内容を定型化し、必要な治具を整備した結果、障害者社員が安定的に作業を担当できるようになりました。全体の生産効率は5%向上し、社員の残業時間削減にもつながりました。

  • IT企業 B社
    開発部門では日々大量の「バグ報告」が寄せられていました。これを障害者社員が整理・分類し、開発担当者に引き渡す仕組みを導入。精神障害を持つ社員が得意とする正確性・集中力を活かした結果、離職率の低下と定着率の改善が見られました。

  • 物流業 C社
    ピッキング業務の一部を障害者社員に任せる仕組みを構築。視覚的に分かりやすいマニュアルを導入し、知的障害のある社員が安定して業務を遂行。作業時間が20%短縮し、戦力化に成功しました。

これらの事例に共通するのは「業務の定型化」「合理的配慮」「教育体制の整備」の3点です。


 

業務切り出しを進める具体的ステップ

障害者雇用における業務切り出しは、以下のプロセスで進めるのが効果的です。

  1. 業務の見える化
    部署横断で作業内容をリスト化し、業務量や所要時間を可視化します。これにより、切り出し可能な業務が浮き彫りになります。

  2. 切り出し候補の抽出
    業務の中から「反復性が高い」「付加価値が低い」「マニュアル化しやすい」ものを優先的にピックアップします。

  3. トライアル導入
    いきなり全ての業務を任せるのではなく、小規模に導入し、業務遂行状況を検証します。現場の声を反映しながら改善を繰り返すことが大切です。

  4. マニュアル・教育体制の整備
    作業手順を明文化し、障害者社員が安心して業務を遂行できる体制を整えます。また、既存社員に対する研修も不可欠です。障害特性への理解を深めることで、円滑な協働が可能になります。

  5. 定着フォロー
    定期的な面談や業務改善の場を設け、障害者社員が安心して働ける環境を維持します。さらに、キャリア形成を視野に入れたリスキリングの導入も効果的です。


 

助成金制度の活用

業務切り出しや雇用促進に取り組む企業には、国や自治体からさまざまな助成金が用意されています。例えば:

  • 特定求職者雇用開発助成金
    障害者を新規に雇用した場合、最大240万円が支給されます。

  • 障害者職場定着支援助成金
    定着に向けた支援体制を構築する企業に対して助成が行われます。

  • 人材開発支援助成金
    障害者社員のスキルアップを目的とした研修費用が補助されます。

これらをうまく活用することで、企業の負担を抑えながら、持続的な障害者雇用を実現できます。


 

まとめ:業務切り出しは経営戦略の一部

障害者雇用における業務切り出しは、単なる「義務対応」ではなく、企業の生産性向上や人材戦略の一環です。成功の鍵は、業務の棚卸しと合理的配慮、そして段階的な導入にあります。さらに、助成金制度を活用すれば、企業にとっても大きなメリットを享受できます。

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