突然「障害者雇用の担当」を任された新任人事担当者。何から始めればいいのか、正直戸惑う方も多いでしょう。法定雇用率は年々引き上げられ、罰則だけでなく企業の社会的評価にも直結します。本記事では、最新制度と現場のリアルを織り交ぜながら、障害者雇用の意義・メリット・課題をわかりやすく解説します。

導入:ある新任人事担当者の戸惑いから

「来月から障害者雇用を担当してほしい」

—入社5年目のAさん(メーカー勤務)は突然の辞令に驚きました。

法定雇用率という言葉は耳にしたことがあっても、実際に何をどう進めればいいのかは全くの未知数。調べてみると、自社の従業員数ではあと数名の雇用が必要で、しかも来年には法定雇用率がさらに上がると知り、頭を抱えました。

このAさんのように「制度は知っているけれど、具体的にどう取り組めばよいか分からない」という担当者は少なくありません。

障害者雇用をめぐる社会と制度のいま

 

法定雇用率は上昇の一途


2025年現在、民間企業の法定雇用率は
2.5%。従業員40人以上の企業は対象となります。そして、2026年7月には**2.7%**へと引き上げが予定されています。

さらに、2025年4月には「除外率制度」も一律10ポイント引き下げられ、従来は雇用義務が軽かった業種も対応が必須になりました。つまり「うちの業種は例外だから大丈夫」とは言えない時代になったのです。

メリット編:障害者雇用が企業にもたらす光


1. リスク回避から信頼獲得へ


法定雇用率を満たさなければ「障害者雇用納付金」を負担することになります。しかし、雇用を進めることで罰則を回避しつつ、法令遵守企業として社会的信頼を高められるのです。

2. 社会的評価とブランド力


あるIT企業は障害者雇用を積極的に進めた結果、CSRレポートで高く評価され、ESG投資の対象となりました。結果として、新卒採用でも応募者が増えるなど「企業ブランドの強化」につながりました。

3. 業務改革と効率化


物流業界の事例では、障害者社員に「ラベル貼り・仕分け」を任せるために業務フローを分解したところ、健常者社員の残業が年間2,000時間削減されました。雇用は単なる義務ではなく、全社的な業務改善の起爆剤になり得ます。

4. 特性を活かす戦力化


発達障害のある社員が「細かいデータ入力で抜群の集中力」を発揮し、品質管理部門の生産性が上がった例もあります。適材適所の配置次第で、障害者雇用は“配慮”から“戦力”へと変わります。

5. 助成金という後押し


厚労省の助成金制度は強力です。

  • 新規雇用に使える 特定求職者雇用開発助成金

  • 定着を支援する 障害者雇用安定助成金

  • 専門スタッフを派遣できる ジョブコーチ制度

賢く活用すれば「コスト」ではなく「投資」へと転換できます。


デメリット編:現場で直面する壁


1. コストと環境整備


「バリアフリー工事に数百万円」「ICT機器の導入に数十万円」——初期投資が負担に感じられることは事実です。

2. 社内理解の壁


「なぜ特別扱いをするのか」という声が上がるケースも少なくありません。これは新任担当者にとって最も難しい課題のひとつ。社内研修や啓発活動を通じた意識改革が必要です。

3. マッチングの難しさ


「どんな業務を任せればいいのか?」

障害の特性に合わせて仕事を切り出すのは簡単ではありません。単純作業ばかりでは本人のやりがいが薄れ、定着につながらないこともあります。

4. 定着率の低さ


統計上、障害者雇用の3年以内離職率は約50%と高めです。採用後の伴走支援がなければ、せっかくの取り組みも形骸化してしまいます。

では、障害者雇用の担当者になったら何から始めるべきか?

  1. 現状把握:まずは自社の従業員数と雇用義務数を正確に算定。

  2. 情報収集:助成金・支援制度を確認し、社内説明に備える。

  3. 社内巻き込み:経営層・現場管理職を含めた体制を整備。

  4. 小さな成功体験:短時間勤務や一部業務から始め、徐々に拡大。

  5. 専門家の力を借りる:採用から定着支援までを外部パートナーと進める。


TSUNAGUの伴走支援で不安を自信に変える


「制度は分かったけど、実務で何から始めれば…」と悩むのは当然です。そこで役立つのが TSUNAGUの一貫支援サービスです。

  • 雇用率算定から採用戦略設計までサポート

  • 助成金申請の代行・伴走で負担を軽減

  • 現場研修・合理的配慮の導入支援で定着率を向上

新任担当者でも安心して進められる体制を整えています。

最後に

障害者雇用は「義務」ではなく「組織を成長させるチャンス」です。読み進めてくださったあなたが、今まさに一歩を踏み出そうとしているなら、その挑戦は必ず会社の未来を強くします。

TSUNAGU MEDIA 編集部

障害者雇用でお悩みの方、障害者(ニューロダイバイシティ)社員の職域拡大に向けたリスキリングをご検討されている方は、採用から育成まで一貫した支援が可能なTSUNAGUに、お気軽にご相談ください。

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